将来が不安なとき、不安を3つに分ける
漠然とした不安は、制度・お金・選択肢の3つに分けると対処できる問題になります。それぞれで何を調べ、どの順番で確認し、いつまでに終わらせるかをまとめました。
この記事の要点
- 漠然とした不安は、調べる対象が決まっていない状態のこと
- 分けるのは3つ。制度がどうなるか、お金がどうなるか、自分に何ができるか
- 制度とお金は調べれば分かる。選択肢だけは人と話さないと出てこない
- 3つは調べるのにかかる時間が違う。同じ不安として抱えるから重くなる
- 全部を一度に潰さない。1つずつ、期限を決めて確認する
定年の段階的引き上げ、退職手当、年金の取り扱いは、所属や生年月日によって異なります。この記事は2026年9月時点の一般的な整理です。自分の適用は人事担当と、年金についてはねんきん定期便・年金事務所でご確認ください。
将来が不安、という状態は、調べる対象が決まっていない状態のことです。対象が決まると、不安は調べ物と手続きに変わります。
この記事では、3つに分けて、それぞれの調べ方と、かかる時間の違いを書きます。
不安を3つに分ける
| 種類 | 中身 | 調べ方 | かかる時間 |
|---|---|---|---|
| 制度 | 定年、年金、給与の水準、組織の先行き | 規程、人事担当、公表資料 | 1日 |
| お金 | 手取り、退職手当、生活費、ローン | 給与明細、規程、家計の記録 | 1週間 |
| 選択肢 | 自分に何ができるか、外にどんな働き方があるか | 人と話す | 数か月 |
上2つは、調べれば答えが出ます。出ないのは3つめだけです。
そして、この3つはかかる時間がまるで違います。1日で終わるものと、数か月かかるものを、同じ「将来の不安」として抱えているから重くなる。分けるだけで、扱いやすくなります。
制度は、自分の適用を確認する
一般論ではなく、自分が何歳で定年になり、給与の水準がどうなるのかを確認してください。段階的な引き上げの途中なので、生年月日によって適用が違います(定年延長で、50代からの働き方はどう変わるか)。
確認するのは4つです。
- 自分の定年年齢
- 役職定年の扱い(管理監督職にいる場合)
- 60歳以降の給与の水準
- 退職手当の算定に、経過的な取り扱いがあるか
人事担当に聞けば、その日のうちに分かります。 辞める意思の表明ではないので、制度の確認として聞いて構いません。
お金は、数字にすると総量が減る
- いまの手取りと固定費
- 退職手当の見込み額
- 年金の見込み(ねんきん定期便、ねんきんネット)
- 働き方を変えた場合に、下限いくらで成り立つか
この4つが出ているだけで、不安の総量はかなり減ります。 計算の手順は辞めたあとのお金を、退職手当から先に計算するにまとめました。
数字を出すと、不安の形が変わります。「この先やっていけるのか」が「60歳から65歳までの5年間を、どう埋めるか」になる。後者なら、打つ手を考えられます。
3つめの「選択肢」だけは、調べ物では出てきません。公務員・教員から外に出た人と、いま在職中の人が話している場所があります。
公務員コミュニティに参加する選択肢は、人と話さないと出てこない
自分の経験が外で何と呼ばれるのか、どんな働き方が実際にあるのか。これは調べ物では出てきません。外に出た人の話を聞くのがいちばん早い。
榊原立城が現役の方に伝えているのも、ここです。辞めるためではなく、自分の可能性がどこにあるのかを見に行っておく。 それが選択肢を持つということだ、と話しています(インタビュー)。
選択肢は、あっても使わなくて構いません。 「いつでも動ける」と分かっている状態と、「動けない」と思い込んでいる状態では、同じ職場にいても負荷が違います。
組織の先行きが不安なとき
制度やお金とは別に、「この組織はこの先どうなるのか」という不安もあります。人員の削減、業務の外部化、財政の悪化。
ここは自分では動かせない部分です。動かせないものを心配し続けると消耗します。 扱い方としては2つ。
- 事実だけを確認する:公表されている計画、定員の推移
- 自分の側の備えに変換する:組織がどうなっても通じる経験を作る
2が実質的な対処です。外でも説明できる経験を持っておくことは、組織の先行きに関係なく効きます(公務員の経験を職務経歴書の言葉に置き換える)。
一度に全部潰さない
3つを同時に進めると、どれも終わりません。1つずつ、期限を決めて確認してください。
- 今週:制度(人事担当に聞く)
- 今月:お金(給与明細と家計を書き出す)
- 3か月:選択肢(外の人に2〜3人会う)
そのくらいの差があるものを、同じ不安として抱えているから重くなります。
判断の順番そのものは公務員を辞めたいと思ったら、決める前に確かめる3つのことに、安定の比べ方は安定は、捨てるものではなく比べるものにあります。
不安が強くて動けないとき
分けても、調べても、不安が消えないことがあります。とくに、夜に考えが止まらない状態が続いているなら、それは情報の問題ではありません。
確認するのは4つです。眠れているか、食べられているか、休日に回復するか、決められるか。ひとつでも続いているなら、調べ物より先に医療機関に相談してください(働きすぎのサインを、自分でどう見分けるか)。
不安が強い状態では、同じことを何度も調べてしまいます。調べるほど不安が増えるなら、それは調べ方の問題ではなく、状態の問題です。
年代ごとに、確かめる中身が変わる
同じ「将来の不安」でも、年代で中身が違います。
| 年代 | 中心になる不安 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 20〜30代 | この先20年続けられるか | 選択肢(外での呼ばれ方) |
| 40代 | 動けるうちに動くべきか | 残り年数と退職手当 |
| 50代 | 定年前後の働き方と収入 | 制度(定年、再任用、年金) |
自分の年代で中心になる不安から手をつけると、効率がいい。20代で年金の計算を細かくやっても、不安は減りません。逆に50代で「何がやりたいか」を探し続けると、時間が足りなくなります。
40代の動き方は40代からの選択肢は、転職だけではないに、50代は50代から始めるセカンドキャリアの考え方にまとめました。
確かめたあとに残る不安
制度もお金も調べて、それでも残る不安があります。それは多くの場合、**「この先20年、これを続ける自分が想像できない」**という感覚です。
これは情報では消えません。消すには、選択肢を持つしかない。外に出るかどうかではなく、出られる状態にしておくことが効きます。
そのための準備は辞める前に何をしておくかにまとめました。選択肢があると分かっているだけで、同じ職場にいても感じ方が変わります。
まとめ
- 漠然とした不安は、調べる対象が決まっていない状態
- 制度は1日、お金は1週間、選択肢は数か月。かかる時間が違う
- 制度とお金は調べれば出る。選択肢だけは人と話す
- 組織の先行きは、事実の確認と、自分の側の備えに変換する
- 1つずつ、期限を決めて確認する
よくある質問5選
質問1調べるほど不安になります。
対象を決めずに調べていると、断片的な情報が増えるだけです。「何を確かめたら、この不安は消えるのか」を先に決めてください。
質問2公務員は安定しているのに不安なのはおかしいですか。
おかしくありません。収入が安定していることと、この先20年の働き方に納得できるかは別の問題です。
質問3何から手をつければいいですか。
お金からが確実です。数字は調べれば出るので、不安の総量がいちばん早く減ります。
質問4制度が変わり続けるので、調べても無駄な気がします。
変わるのは事実ですが、いま分かっている前提で数字を出しておくと、変わったときの影響も測れます。ゼロから考え直す必要はなくなります。
質問5夜になると不安で眠れません。
睡眠に影響が出ている場合は、まず医療機関に相談してください。制度やお金の確認は、そのあとでも間に合います。
榊原立城(さかきばら もとき)元公立中学校 教員(16年)/現キャリアコーチ
コラムは主宰が内容を確認したうえで公開しています。制度や法令に触れる記述は、公開時点の条文と所属の規程を確認したうえで書いています。