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50代から始めるセカンドキャリアの考え方

セカンドキャリアは辞め方ではなく始め方の話です。定年前後の選択肢、暫定再任用と定年前再任用短時間勤務、準備の順番、収入の下がり方の扱いまでまとめました。

この記事の要点

  • セカンドキャリアは、辞めるかどうかではなく「何を始めるか」から考える
  • 定年前後の選択肢は、暫定再任用・定年前再任用短時間勤務・再就職・独立・活動として続ける
  • 準備は50代前半から。制度が変わる時期なので、前提の確認が先
  • 50代の仕事は、公募よりも人づての紹介から決まることが多い
  • 収入の下がり方を先に数字にすると、何を選んでも慌てなくなる

定年の段階的な引き上げや役職定年、定年前再任用短時間勤務などの制度は、2023年4月から順次施行されています。適用時期と取り扱いは所属によって異なるため、最新の内容は人事担当でご確認ください。

セカンドキャリアという言葉は、辞め方の話として使われがちです。実際には始め方の話で、始めるものが決まっていれば、辞め方は後からついてきます。

この記事では、定年前後の選択肢と、50代前半からの準備の順番を書きます。

定年前後の選択肢

選択肢 特徴 先に確認すること
暫定再任用(フルタイム/短時間) 慣れた職場。定年が65歳になるまでの経過措置 対象年齢、役割、給与の水準
定年前再任用短時間勤務 60歳以後に定年前退職して短時間勤務で働く 適用の条件、勤務時間、給与
民間へ再就職 経験を活かせる職種がある 求められる役割、勤務時間
独立・業務委託 自分で仕事を作る。立ち上がりに時間 生活費の見通し、続けられる形
活動として続ける 地域活動、非営利。収入は主目的でない 生活費の柱をどこに置くか

最初から1つに絞らないこと。2つを並行して試す時期があってよく、50代はその余地が残っている時期でもあります。なお、従来の再任用制度は定年の引き上げに伴い経過措置に移行しています。名称と条件は所属で確認してください(定年延長で、50代からの働き方はどう変わるか)。

準備は50代前半から

準備といっても、資格を取ることではありません。次の3つです。

  1. お金の見通し:退職手当、年金の受給開始、暫定再任用や短時間勤務の給与水準。数字を並べる
  2. 経験の言い換え:30年分の仕事を、役割と決裁の範囲で説明できるようにする
  3. 外のつながり:職場以外に、話せる相手を作る

3が効きます。50代からの仕事は、公募よりも人づての紹介から決まった、という話をよく聞きます。 作り方は職場以外のつながりを、在職中に作るにまとめました。

つながりは、すぐには作れません。だから50代前半から始める必要があります。 60歳を過ぎてから探し始めると、関係を作る時間が足りなくなります。

30年分の経験を、どう見せるか

50代の経験は、量では伝わりません。並べ方を変えます。

  • いちばん大きく動かしたもの:金額、人数、期間
  • いちばん難しかった調整:誰と誰のあいだで、何を決めたか
  • 自分が作った仕組み:いまも残っているもの
  • 育てた人:何人を、どのように

「30年勤めました」ではなく、上の4つで見せる。 相手が知りたいのは年数ではなく、任せられる範囲です(公務員の経験を職務経歴書の言葉に置き換える)。

50代の動き方は、若い世代とは別物です。同じ年代の公務員・教員と、すでに次を始めた人が話している場所があります。

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収入の下がり方を先に決めておく

暫定再任用でも再就職でも、多くの場合は収入が下がります。ここを先に数字にしておくと、下がった事実にではなく、下がった後の生活に意識が向きます。

  • 定年前後で、手取りがいくらになるか
  • 年金の受給開始までの期間をどう埋めるか
  • 固定費のうち、下げられるもの

「いくらまでなら成り立つか」を出しておくと、選べる仕事の幅が広がります。 金額だけで断らずに済むからです。退職手当の考え方は辞めたあとのお金を、退職手当から先に計算するにまとめています。

小さく始めておく

50代からの独立や副業的な活動は、いきなり本格化させる必要はありません。在職中から、適法な範囲で小さく始めておくと、定年後の立ち上がりが早くなります。

  • 地域の活動に関わる(無報酬の範囲で)
  • 自分の経験を、人に説明する機会を作る
  • 業務外で、頼まれごとを引き受けてみる

「定年になったら始める」ではなく、「いま少しだけ始めておく」。 この差が、60歳以降の数年に効いてきます。

年齢は理由にならない

榊原立城が公立中学校の教員を辞めたのは40代です。16年分の経験を別の言葉に置き換えることで、いまの仕事につながっています(インタビュー)。

40代の選択肢の広げ方は40代からの選択肢は、転職だけではないにあります。

60歳以降に働き方を変えた人の順番

定年前後で働き方を変えた人の話を聞くと、順番はだいたい共通しています。

1|55歳前後で情報を集め始めていること

制度、お金、外の仕事。この3つを、まだ余裕のある時期に確認しています。

2|在職中に小さく始めていること

地域の活動、勉強会、知人の手伝い。報酬の発生しない範囲でも、続けていると声がかかる場面が出てきます。

3|複数の形を並行させていること

短時間の勤務と、別の仕事。ひとつに絞らないぶん、収入も役割も調整しやすくなります。

逆に、定年を迎えてから探し始めた人は、時間の使い方に苦労しています。 仕事そのものより、生活の輪郭が消えることのほうが負担になるようです。

「何もしない」も選択肢に入れる

セカンドキャリアの話は、次の仕事を前提に進みがちです。ただ、働く量を減らす、あるいは働かない期間を作るのも選択肢です。

そのときに確認するのは2つ。

  • 年金の受給開始までの期間を、貯蓄と退職手当で埋められるか
  • 社会とのつながりを、仕事以外でどう持つか

2つめを軽く見ないでください。収入より先に、生活のリズムと人との接点が問題になります。 地域の活動や学びの場を、辞める前から持っておくと移行が滑らかになります。

どの形を選ぶにしても、50代前半に一度、制度とお金と選択肢を確認しておく。そこから逆算すると、残りの数年の使い方が決まります。

職場の中で、次につながる経験を作る

在職中でも、セカンドキャリアにつながる経験は作れます。特別なことではなく、次のようなものです。

  • 庁内の公募や、プロジェクトに手を挙げる
  • 研修の講師役を引き受ける
  • 他の自治体・団体との連携の窓口になる
  • 若手の育成に関わる

これらは、外に出たときに説明しやすい経験になります。 「30年勤めました」より、「若手の育成の仕組みを作りました」のほうが、任せられる範囲が伝わります。

さらに、こうした経験は職場の外の人と知り合う機会にもなります。50代の仕事が紹介から決まりやすいことを考えると、ここは実利があります。

家族と、定年後の生活を先に話しておく

定年前後は、生活の形も変わります。収入だけでなく、家にいる時間が増えることの影響も出ます。

先に話しておくとよいのは3つです。

  • 収入がどう変わるか(数字で)
  • 働き方をどうしたいか(フルタイム、短時間、地域の活動)
  • 家の中の役割をどうするか

3つめを飛ばして揉める例は少なくありません。 生活のリズムが変わることを、双方が前提として持っておくほうが滑らかに移行できます。

まとめ

  • セカンドキャリアは「何を始めるか」から考える
  • 選択肢は5つ。最初から1つに絞らない
  • 準備は50代前半から。とくに外のつながりは時間がかかる
  • 経験は年数ではなく、動かした規模と決めた範囲で見せる
  • 収入の下限を先に出しておくと、選べる幅が広がる
  • 在職中から小さく始めておく

よくある質問5選

質問1何歳から準備すればいいですか。

50代前半から始めると、選択肢を試す時間がとれます。役職定年や定年の引き上げの影響も、早めに確認しておくと計画が立てやすくなります。

質問2再任用と再就職、どちらがよいですか。

従来の再任用制度は定年の引き上げに伴って経過措置(暫定再任用)に移っています。収入だけでなく、働く時間と役割で比べてください。

質問350代から独立できますか。

できます。ただし立ち上がりに時間がかかる前提で、生活費と退職手当の使い方を先に決めておいてください。

質問4資格を取っておいたほうがいいですか。

用途が決まっていれば有効です。決まっていない資格は、時間とお金の割に効きにくいのが実際のところです。

質問5定年まで勤めてから考えるのでは遅いですか。

遅くはありませんが、選択肢は狭くなります。60歳を過ぎてから探し始めると、つながりを作る時間が足りなくなります。

榊原立城(さかきばら もとき)元公立中学校 教員(16年)/現キャリアコーチ

コラムは主宰が内容を確認したうえで公開しています。制度や法令に触れる記述は、公開時点の条文と所属の規程を確認したうえで書いています。