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働きすぎのサインを、自分でどう見分けるか

限界かどうかは自分では判定できません。見るのは気持ちではなく睡眠・食事・回復・思考の4つ。受診の目安、周囲の指摘の扱い、休む選択肢、判断を後回しにする理由をまとめました。

この記事の要点

  • 限界かどうかを気持ちで判定しない。睡眠・食事・回復・思考の4つを見る
  • 1つでも続いているなら、受診を考える目安。基準を自分で上げない
  • 「まだやれる」と思えることは、大丈夫であることの根拠にならない
  • 周囲の指摘は有力な情報。気のせいにしない
  • 不調のときに出した結論は、回復してから見ると変わることが多い

この記事は医療の助言ではありません。体調に不安があるときは、主治医・産業医、自治体や共済組合の相談窓口にご相談ください。緊急性が高いと感じる場合は、すぐに医療機関へ。

限界かどうかを、自分で正しく判定できる人はいません。「まだやれる」と思えること自体は、大丈夫である根拠になりません。 多くの人が、そう思いながら続けて、ある日動けなくなります。

公務員・教員の仕事は、無理が効いてしまう部分があります。窓口も授業も、その日に穴を開けられない。だから、限界が来ていることに気づくのが遅れます。

気持ちではなく、次の4つを見てください。

見る4つ

見るところ サイン
睡眠 寝つけない、途中で起きる、早朝に目が覚める
食事 食欲がない、味がしない、極端に増える
回復 休日に回復しない。翌週に疲れが残る
思考 同じことを何度も考える、決められない、涙が出る

1つでも続いているなら、受診を考える目安になります。 期間の長短にかかわらず、つらいと感じたときに相談して構いません。基準を自分で上げないでください。

この4つを選んでいるのは、自分の感覚に頼らずに確認できるからです。「つらいかどうか」は慣れてしまいますが、眠れているかどうかは事実として確認できます。

体に出るサインも見る

心の不調は、先に体に出ることがあります。

  • 朝、出勤の準備の途中で動けなくなる
  • 職場が近づくと動悸や吐き気がする
  • 頭痛や腹痛が続いて、休日には出ない
  • 血圧や体重が短期間で変わった

休日に症状が出ない場合、それ自体が手がかりです。 環境との関係で起きている可能性があるからです。ここは自己判断せず、医療機関で相談してください。

周囲が先に気づくことがある

自分では分からなくても、家族や同僚が「最近様子が違う」と言うことがあります。これは有力な情報です。外からの指摘を、気のせいにしないでください。

指摘されやすいのは、表情、口数、反応の速さ、身だしなみ。自分では変えているつもりがなくても、外から見ると分かります。「心配をかけている」と受け取って謝る必要はありません。 情報として受け取ってください。

「自分は大丈夫か」を一人で判定するのは難しい。同じ立場の公務員・教員が、体調とキャリアの話を分けて話している場所があります。

公務員コミュニティに参加する

キャリアの判断は後回しでよい

不調のときに出した結論は、回復してから見ると変わります。辞める・辞めないは、いま決めなくてよい。決めるのは、体が戻ってからです。

順番は3つあります。

  1. 体を守る(受診、休む)
  2. 選択肢を増やす(棚卸し、お金の把握、外のつながり)
  3. 決める

この順番を飛ばすと、離れることが目的になった選択をしやすくなります。 次の場所で同じ状態に戻る、という形がいちばん避けたいところです。

教員の方向けの詳しい手順は教員を辞めたくなったとき、最初にやることの順番に、判断そのものの順番は公務員を辞めたいと思ったら、決める前に確かめる3つのことに書きました。

休むことは、辞める前段階ではない

病気休暇・病気休職は、戻る道を残したまま離れられる仕組みです。使ったからといって辞める方向に進むわけではありません。

制度とお金の確認は休職中のお金はどうなるか休職したあと、復職と退職をどう考えるかにまとめています。お金の心配で受診を遅らせないでください。 順番は、まず体、次に数字です。

受診するときに持っていく情報

初めての受診で何を話せばいいか分からない、という人が多いので、整理しておきます。

  • いつから、どんな状態が続いているか(睡眠・食事・回復・思考の4つ)
  • 仕事の状況(時間、担当、直近で変わったこと)
  • 生活で困っていること(朝起きられない、家事ができない、など)
  • これまでに受診したことがあるか

うまく話そうとしなくて構いません。 上の4つをメモして渡すだけでも足ります。

榊原立城の場合

コミュニティの主宰である榊原立城も、在職中に体調を崩した経験があります。そのうえで、現役の方に伝えたいのは「辞めるのが正解」ではなく、選択肢を持っておくことだと話しています(インタビュー)。

選択肢を持つのは、回復してからでいい。まず戻ることが先です。

サインが出ているのに休めないとき

サインに気づいても、休めない事情はあります。年度の途中、代わりがいない、繁忙期。それでも、優先順位は変わりません。

現実的にできることを、負荷の軽い順に並べます。

  1. 半日だけ休んで受診する:全休より調整しやすい
  2. 業務の優先順位を上司に決めてもらう:「どれを落としますか」と聞く
  3. 産業医の面談を申し込む:所属によっては本人から申し込めます
  4. 病気休暇の規程を読んでおく:使うかどうかは後で決める

4だけでも先にやってください。 制度を知っているのと知らないのとでは、限界が来たときの動き方が変わります。読むだけなら誰にも知られません。

家族や同僚に伝えるときの言い方

心配をかけたくない、という理由で言わない人が多いのですが、黙っているほうが心配をかけます。 急に動けなくなるほうが、周囲の負担は大きい。

伝えるときは、評価や判断を求めず、事実だけを言います。

最近、眠れない日が続いていて、朝がきつい。病院に行こうと思っている。

これで足ります。理由や今後の話は、診断を受けてからで構いません。「辞めるかもしれない」と先に言わないほうがいいのは、相手の反応がキャリアの話に寄ってしまうからです。いまは体の話です。

回復してから、キャリアを考える順番

回復してきたら、次の順で考えます。

  1. 体調が安定しているかを確認する(受診を続けながら)
  2. お金を数字にする(手取り、固定費、決めなくてよい月数)
  3. 選択肢を増やす(経験の言い換え、外の人に会う)
  4. 決める

1から3が終わるまでは、決めないでください。 不調のときに「辞めよう」と思ったことも、「頑張ろう」と思ったことも、回復してから見ると違って見えます。

このサイトのコンセプトは「辞めても、辞めなくてもいい」です。どちらも選べる状態に戻すことが、回復のあとにやることです公務員を辞めたいと思ったら、決める前に確かめる3つのこと)。

予防としてできること

限界が来る前に、日常でできることもあります。特別なことではありません。

  • 睡眠を最優先にする:他を削っても、ここは削らない
  • 週に1日、仕事の連絡を見ない時間を作る
  • 月に1回、職場以外の人と話す
  • 繁忙期の前に、休みを先に入れておく

最後のひとつが効きます。忙しくなってから休みを取るのは難しい。 先に入れておけば、予定として守られます。

まとめ

  • 判定は気持ちではなく、睡眠・食事・回復・思考の4つで
  • 1つでも続いていれば、受診を考える目安
  • 体に出るサインと、周囲の指摘も情報として扱う
  • キャリアの判断は、体が戻ってから
  • 休むことは、辞める前段階ではない

よくある質問5選

質問1これくらいで受診してもいいのでしょうか。

受診の基準を自分で上げないでください。続いている不調があるなら、相談してよい状態です。

質問2病院に行くと、記録が残って不利になりませんか。

受診したこと自体が、直ちに人事上の扱いを変えるものではありません。ただし取り扱いは所属によって異なるため、気になる点は産業医や相談窓口で先に確認できます。

質問3休むと周りに迷惑がかかります。

倒れてから休むほうが、周囲への影響は大きくなります。順番の問題として考えてください。

質問4どの医療機関に行けばいいですか。

かかりつけ医、心療内科、精神科のいずれでも構いません。迷う場合は、まずかかりつけ医に相談して紹介を受ける方法もあります。

質問5忙しくて受診の時間が取れません。

その状態こそが受診の理由です。半日の休みを取ることが難しいなら、その事実を産業医や管理職に伝えてください。

榊原立城(さかきばら もとき)元公立中学校 教員(16年)/現キャリアコーチ

コラムは主宰が内容を確認したうえで公開しています。制度や法令に触れる記述は、公開時点の条文と所属の規程を確認したうえで書いています。