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やりがいを感じないとき、何を見直すか

やりがいは性格ではなく条件で決まります。決められる範囲・手応え・つながりの3つに分け、いまの職場で戻せる部分と戻せない部分、試せる具体策までまとめました。

この記事の要点

  • やりがいは気持ちの問題ではなく、条件の問題として見ると扱える
  • 見るのは3つ。決められる範囲、手応えの見えやすさ、誰と働くか
  • 3つのうち、いまの職場で戻せるものと戻せないものを分ける
  • 手応えは工夫で戻ることがある。見えにくいものを見えるようにする
  • 戻せないものが中心なら、それは働き方を変える理由になる

やりがいがない、という状態を気持ちの問題として扱うと、「気の持ちよう」で終わります。条件の問題として分けると、扱えるようになります。

この記事では3つの条件に分けて、それぞれで打てる手を書きます。

① 決められる範囲

自分で決められる部分がどれくらいあるか。これがいちばん効きます。

法令と前例で進め方が決まっている仕事では、工夫の余地が小さくなります。やっていることの意味が分からなくなるのは、たいてい決められない期間が長く続いたときです。

榊原立城も、辞めた理由のひとつに「納得できないことを、決まったからという理由でやること」への違和感を挙げています。組織の中にいる限りそれは出てくる、と考えて、自分で決められる働き方を選びました(インタビュー)。

これは、職場によっては変えにくい部分です。ただ、全部が決められないわけでもありません。 手順、順番、書式、確認のタイミング。小さく決められる場所を探すと、感覚が変わることがあります。

② 手応えの見えやすさ

行政の仕事は、成果が数字で出ません。誰かの役に立ったかどうかが、見えないまま過ぎていきます。やったことが見えないと、やりがいは感じられません。

ここは工夫で戻せることがあります。

  • 自分の担当で、何が変わったかを記録する(件数、時間、苦情の減り方)
  • 住民や利用者からの反応を、意識的に拾う
  • 小さい改善を、自分で決めて実行する
  • 週の終わりに、終わったことを書き出す

4つめが意外に効きます。やり切った仕事は記憶に残らず、残っている仕事だけが目に入る。 これが「何も進んでいない」という感覚を作ります。書き出すと、実際には進んでいることが見えます。

③ 誰と働くか

同じ仕事でも、一緒にやる相手で変わります。これは異動で変わる部分です。ただ、外に1つつながりを持つことでも比重は下がります(職場以外のつながりを、在職中に作る)。

職場の中だけで評価されている状態は、それ自体が負荷になります。外に、自分の仕事を面白がってくれる人がいるだけで、同じ職場の見え方が変わることがあります。

「この仕事に意味があるのか」は、職場の中では話しにくい問いです。同じ立場の公務員・教員が集まっている場所があります。

公務員コミュニティに参加する

戻せるものと、戻せないもの

原因 いまの職場で戻せるか
手応えが見えない 戻せることが多い
一緒に働く相手 異動で変わる可能性がある
決められる範囲の狭さ 職場によっては変えにくい

3つめが中心なら、それは働き方を変える理由になります。 1つめ2つめが中心なら、いまの場所で試せることが残っています。

判断の目安として、3か月試してみることをおすすめします。記録を取り、小さく決められる場所を作り、外に1つつながりを持つ。それでも変わらないなら、原因は3つめにあります。

「意味がない」と感じる仕事の扱い方

行政には、自分では意味が分からない業務もあります。制度上そうなっている、前年もそうだった、という理由で続いているもの。

ここで消耗しないために、2つの見方があります。

1|意味を探すのをやめること

すべての業務に納得しようとすると、消耗します。納得できないものは「制度上必要な作業」として処理し、意味は別の業務で回収する。

2|改善の提案を1つだけ出すこと

通らなくても構いません。提案したという事実が、受け身の感覚を減らします。 通ったら、それがそのまま手応えになります。

昇進で変わる部分・変わらない部分

「役職が上がれば決められるようになる」と考える人は多いのですが、実際には半分です。決められる範囲は広がりますが、調整と説明の量も増えます

上がって楽になる人は、決めることが好きな人です。苦しくなる人は、自分の手で仕事を進めたい人です。どちらのタイプかを先に知っておくと、昇進を目標にするかどうかを判断できます。

「やりがい搾取」にならないために

やりがいの話には、注意しておくべき面もあります。やりがいを理由に、負荷を受け入れ続けてしまうことです。

行政や学校の仕事は、社会的な意義が分かりやすい。だから「意義があるのだから」という理由で、時間も労力も際限なく差し出しやすくなります。本人も周囲も、それを美徳として扱ってしまう。

線を引くための問いは1つです。「同じ仕事を、半分の負荷でやる方法はないか」。 やりがいがあることと、いまの負荷が必要であることは、別の話です。

負荷そのものが問題になっている場合は、公務員の残業は、なぜ職場によって違うのかの記録の取り方を使ってください。

3か月の試し方

やりがいが戻るかどうかを確かめるには、期間を区切って試すのが早い。次の3つを3か月やってみてください。

  1. 週の終わりに、終わった仕事を5つ書き出す(手応えを見えるようにする)
  2. 月に1つ、自分で決めて変えてみる(手順、様式、確認の順番)
  3. 月に1回、外の人に自分の仕事を説明する(意味を言葉にする)

3か月経って何も変わらないなら、原因は決められる範囲の狭さにあります。そこは組織の作りに由来するので、努力では埋まりません。 そのときは、働き方そのものを比べる段階に移ってください(公務員を辞めたいと思ったら、決める前に確かめる3つのこと)。

逆に、少しでも戻った感覚があるなら、いまの職場で試せることがまだ残っています。その差を確かめるための3か月です。

職場の外で、手応えを作る

職場の中だけで手応えを取り戻そうとすると、行き詰まることがあります。外に、自分の力が効く場所をひとつ持つという手もあります。

  • 地域の活動に関わる(無報酬の範囲で)
  • 学んだことを人に説明する
  • 同じ職種の人と情報を交換する

適法な範囲でできることは多くあります(公務員が適法な範囲でできる準備は、どこまでか)。職場の評価だけが自分の評価ではない、という状態を作ると、やりがいの問題は軽くなります。

まとめ

  • やりがいを気持ちではなく、条件として見る
  • 見るのは、決められる範囲・手応え・誰と働くか
  • 手応えは工夫で戻ることが多い。記録と、小さく決める場所を作る
  • 3か月試して変わらないなら、原因は決められる範囲の狭さにある
  • 昇進で変わるのは半分。調整と説明の量も増える

やる気が出ない状態が続いているならモチベーションが上がらないのは、意欲の問題ではないかもしれないを、安定との比べ方は安定は、捨てるものではなく比べるものを読んでください。

よくある質問5選

質問1やりがいがないだけで辞めてもいいのでしょうか。

辞める理由として弱い、ということはありません。ただ、中身を分けないまま辞めると、次の場所でも同じことが起きることがあります。

質問2公務員の仕事に手応えを求めるのは間違いですか。

間違いではありません。成果が数字で見えにくい仕事ほど、手応えを意識して設計する必要があります。

質問3異動すれば戻りますか。

業務の内容や関わる人が理由なら戻ることがあります。決められる範囲の狭さが理由の場合は、職場によっては変わりにくいこともあります。

質問4昇進すれば変わりますか。

決められる範囲は広がりますが、同時に調整の量も増えます。役職が上がって楽になる人と、苦しくなる人がいます。

質問5体調は悪くないのに、やる気が出ません。

疲労が浅いところに溜まっていることもあります。休んでも戻らないなら、環境か意味のほうに原因があります。

榊原立城(さかきばら もとき)元公立中学校 教員(16年)/現キャリアコーチ

コラムは主宰が内容を確認したうえで公開しています。制度や法令に触れる記述は、公開時点の条文と所属の規程を確認したうえで書いています。