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職場以外のつながりを、在職中に作る

職場と家庭だけで判断していると、選択肢が両極端になります。適法な範囲で外とつながる4つの形、所属を出さずに参加する基準、続けるための頻度までまとめました。

この記事の要点

  • 職場と家庭だけだと、入ってくる情報が両極端になる
  • 外のつながりは転職の手段ではなく、判断材料を増やすためのもの
  • 在職中でも、報酬が絡まない範囲でできることは多い
  • 所属や氏名を出さずに参加できる場を選ぶ。所属が特定される形での発信は避ける
  • 人脈を作るのではなく、話を聞ける相手を1人作る、と考えると続く

外部の活動への参加に届出や許可が必要かどうかは、所属する自治体・府省の規程によって異なります。報酬が発生する場合はとくに、事前に確認してください。この記事は2026年9月時点の一般的な整理です。

判断に必要な材料のうち、一人では埋めにくいのが選択肢です。自分の経験が外で何と呼ばれるのか、どんな働き方が実際にあるのかは、外の人と話さないと出てきません。

この記事では、在職中に外とつながる方法と、注意する点を書きます。

職場と家庭だけだと、情報が両極端になる

職場で聞こえてくるのは「辞めた人の噂」で、家庭で言われるのは「安定しているのに」です。どちらも判断材料としては足りません。

噂は極端な形で伝わります。うまくいった人の話は成功譚になり、そうでない人の話は失敗談になる。その中間、つまり「実際は地味に数年かかった」という話は、噂としては流通しません。

必要なのは、その中間の情報です。辞めた人が実際にどういう順番で動いたのか、うまくいかなかった時期に何をしていたのか。この粒度の話は、当事者からしか出てきません。

在職中にできる4つの形

特徴 注意
勉強会・セミナー 参加するだけ。報酬が絡まない 所属が特定される発信は避ける
オンラインのコミュニティ 匿名で参加できる場もある 規約と、参加者の範囲を確認する
地域活動・ボランティア 実務の経験になる 無報酬でも届出が要る場合がある
個人的に話を聞く 相手を選べる 相手の時間をもらう前提で臨む

報酬が絡まない範囲は、一般に許可の対象外です。線引きの考え方は公務員が適法な範囲でできる準備は、どこまでかにまとめました。

いちばん効くのは4つめです。 1人に1時間話を聞くだけで、調べ物の何日分かの情報が入ります。

つながりは、転職の手段ではない

「人脈を作って紹介をもらう」という発想だと、続きません。目的は紹介ではなく、判断の材料を増やすことです。

  • 実際の働き方を知る
  • 自分の経験が外でどう見えるかを知る
  • 決める前に、一度声に出して話す

3つめを軽く見ないでください。頭の中にあるうちは、迷いは形を持ちません。 人に話すと、自分が何を重く見ているかが分かります。

町役場の職員だったSHUNさんも、外のツールや人に触れるところから始めています(インタビュー)。

いちばん手に入りにくいのが「同じ立場で先に動いた人」の話です。公務員・教員から外に出た人と、いま在職中の人が一緒にいる場所があります。

公務員コミュニティに参加する

所属を出さずに参加できる場を選ぶ

所属が特定される形での発信は、信用失墜行為や秘密を守る義務の問題になり得ます。所属や氏名を出さずに参加できるかどうかを、場を選ぶ基準に入れてください。

具体的には、次の3つを守ります。

  1. 所属・部署・職種が特定できる情報を出さない
  2. 職務上知り得た情報は一切出さない
  3. 勤務時間中に活動しない

この3つを守っていれば、私的な学びや交流の範囲に収まります。逆に、この3つのどれかを破ると、活動の内容にかかわらず問題になります。

続けるための頻度

多くの人が、最初だけ参加して止まります。続けるコツは、頻度を先に決めることです。

  • 月に1回、誰かの話を聞く
  • 週に1回、読むだけでもその場を見る
  • 3か月に1回、自分の状況を共有する

頻度が低くても、続いていれば材料は増えます。 逆に、集中して短期間だけ関わっても、判断が変わるほどの情報は入りません。

職場の人間関係が理由で疲れている場合

外のつながりは、キャリアの材料としてだけでなく、職場の関係の比重を下げる働きもします。評価軸が職場ひとつしかない状態は、それ自体が負荷になります。

詳しくは職場の人間関係に疲れたときにまとめました。相談先の選び方は職場にも家族にも言えないとき、誰に相談するかにあります。

話を聞くときの準備

外の人に会えることになったら、聞き方を用意しておくと、1時間の密度が変わります。

聞くとよいのは、結論ではなく順番です。

  1. 最初に何をしましたか(辞める前・辞めた直後)
  2. いちばんきつかったのはいつで、何がきつかったですか
  3. やっておけばよかったことは何ですか
  4. いまの仕事は、どうやって最初の1件を取りましたか
  5. 公務員時代の経験で、いま効いているものはありますか

「どう思いますか」ではなく「何をしましたか」と聞く。 意見より行動のほうが、自分に移し替えられます。

終わったあとは、聞いた内容を10行でいいので書き残してください。3人分たまると、共通点が見えます。 そこが、自分にとっての順番になります。

続かない人に共通すること

外とのつながりが続かない人には、共通点があります。

1|成果を急ぐこと

1回参加しただけで何かが変わることはありません。判断材料は、少しずつしか増えません。

2|全部に参加しようとすること

予定を埋めると疲れます。月に1回でいい、と決めたほうが続きます。

3|聞くだけになること

一度でも自分の状況を話すと、相手からの情報の質が変わります。匿名でも、状況は話せます。

続けるコツは、期待値を下げることです。 「何か見つかるかも」ではなく「材料が1つ増えればいい」。それで十分、判断は前に進みます。

何を話し、何を話さないか

外の場で話すときの線引きを、先に決めておくと安心して参加できます。

話していいこと

  • 自分が迷っていること、考えていること
  • 一般に公表されている制度の話
  • 自分の経験を、所属が特定されない形にしたもの

話さないほうがいいこと

  • 所属、部署、担当の具体
  • 職務上知り得た情報(個人情報、未公表の計画)
  • 特定の人物への評価

迷ったら話さない、で構いません。 話さなくても、聞くことはできます。参加の目的は情報を出すことではなく、材料を増やすことです。

つながりが、判断以外にも効く場面

外のつながりは、キャリアの判断だけに効くわけではありません。

  • 職場の関係が息苦しいときに、比重が下がる
  • 体調を崩したときに、相談先がある
  • 家族に言えない話を、一度声に出せる
  • 残ると決めたあとも、視野が閉じない

とくに最後のひとつです。 残る選択をした人ほど、外のつながりを持っておくと働き方が変わります。職場だけが世界ではない、と分かっている状態は、それ自体が余裕になります。

最初の一歩をどう踏むか

外とのつながりを作る、と言われても、何から始めるか分からない人が多いところです。負荷の軽い順に並べると、こうなります。

  1. 読むだけ:オンラインの場に入って、他の人のやり取りを見る
  2. 質問する:匿名で、制度や進め方について聞く
  3. 自分の状況を書く:所属を出さない形で、いまの迷いを書く
  4. 話す:オンラインでも対面でも、1人と話す

1から始めて構いません。 読むだけでも、外の温度は分かります。3まで来ると、返ってくる情報の質が変わります。

まとめ

  • 職場と家庭だけだと、情報が両極端になる
  • 在職中でも、報酬が絡まない範囲で4つの形がある
  • いちばん効くのは、1人に1時間話を聞くこと
  • 所属を出さない、職務情報を出さない、勤務時間中にやらない
  • 頻度は低くていい。続いていることが大事

在職中の準備の全体像は辞める前に何をしておくかにまとめています。

よくある質問5選

質問1在職中に外部の活動に参加してもよいですか。

報酬を伴わない学びや交流は、一般に許可の対象外です。ただし所属によって届出を求める場合があるため、規程を確認してください。

質問2身元が分かると困ります。

所属や氏名を出さずに参加できる場を選んでください。所属が特定できる情報を出さないことが前提です。

質問3人脈づくりは苦手です。

人脈を作るというより、話を聞ける相手を1人作る、と考えると負担が減ります。数は必要ありません。

質問4どのくらいの頻度で関われば十分ですか。

月に1回でも、続いていれば十分です。判断材料は、頻度より継続で増えます。

質問5参加していることを職場に知られたくありません。

所属を出さない、職務に関する情報を出さない、勤務時間中に活動しない。この3つを守っていれば、私的な学びや交流の範囲です。

榊原立城(さかきばら もとき)元公立中学校 教員(16年)/現キャリアコーチ

コラムは主宰が内容を確認したうえで公開しています。制度や法令に触れる記述は、公開時点の条文と所属の規程を確認したうえで書いています。