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資格から入ると外れる。用途を決めてから選ぶ

資格を取れば変われる、という順番でつまずく人は多い。先に用途を決める手順、経験と組み合わせると効く資格、取る前に確かめること、時間とお金の目安をまとめました。

この記事の要点

  • 資格は手段。何に使うかが決まっていないと、時間とお金が成果に変わらない
  • 先に決めるのは「どんな仕事の形なら続けられるか」。資格はその後
  • 資格そのものより、経験との組み合わせのほうが効くことが多い
  • 取る前に、その資格で実際に働いている人の話を1人分は聞く
  • 在職中の勉強は、体調が落ちているときには足さない

辞めることを考え始めると、多くの人がまず資格を調べます。手を動かしている感覚があるので、進んでいる気になれる。ただ、用途が決まっていない資格は、時間とお金の割に効きません。

コミュニティの主宰である榊原立城も、在職中にいくつか資格を取っています。振り返ると、それで稼げるイメージは持てなかった、と話しています(インタビュー)。

この記事では、順番と、取る前に確かめることを書きます。

なぜ、資格から入ってしまうのか

理由は単純で、資格は分かりやすいからです。

  • やることが決まっている(テキスト、範囲、試験日)
  • 進んでいるかどうかが測れる
  • 取れば形が残る

一方で、「自分は何をする人になるのか」は、決め方も測り方も分かりません。だから、分かりやすいほうに流れます。これは怠けではなく、自然な反応です。

ただ、順番としては逆です。用途が決まっていない資格は、履歴書に書けても、仕事にはつながりにくい。

順番を逆にしない

効く順番はこうです。

  1. 自分が苦にせず続けられる仕事の形を決める(強みが見つからないときの探し方
  2. その形で働いている人の求人・募集を3件見る
  3. 共通して求められているものを確認する
  4. 必要なら、そこで初めて資格を取る

3で「資格より経験」と書いてあることも多く、その場合は取らないのが正解です。取らない判断ができるのも、この順番の効果です。

経験と組み合わせると効く

資格単体より、公務員としての経験と組み合わせたときに効くことがあります。

経験 組み合わせの例
福祉・保健の担当 対人支援の資格。制度を知っていることが強みになる
税・会計の担当 簿記・会計系。行政側の手続きを知っている
情報政策・システム担当 IT系。要件をまとめられる人は少ない
教育・指導 研修・コーチング系。対象が子どもから大人に変わるだけ
土木・建築の担当 技術系の資格。現場と制度の両方が分かる

**「資格を持っている人」より「その分野の実務を知っていて、資格もある人」**のほうが、仕事の依頼は来やすくなります。

その資格が実際に効いているかどうかは、使っている人に聞くのがいちばん早い。公務員から外に出た人が集まっている場所があります。

公務員コミュニティに参加する

取る前に、1人分の話を聞く

いちばん効率がいいのは、その資格で実際に働いている人に話を聞くことです。

  • その資格は、仕事を取るうえで実際に効いているか
  • 取ったあと、何が必要だったか
  • 何年目で収入が安定したか
  • 取らなくてもできる仕事はあるか

30分の話を聞くだけで、数十万円と数百時間を使うかどうかの判断材料が手に入ります。大きい金額を払う前に試す、という考え方は公務員が独立でつまずく、いちばんよくある順番にも書きました。

時間とお金の枠を先に決める

講座や通信教育の勧誘は、判断を急がせる形になっていることがあります。先に枠を決めておくと、その場で決めずに済みます。

  • 費用の上限(いくらまでなら出すか)
  • 学習に使える時間(週に何時間か)
  • 期限(いつまでに取るか。取れなかったらどうするか)

とくに3つめです。「取れるまで続ける」と決めると、終わりがなくなります。 1回目で取れなかったら方向を見直す、という基準を先に置いてください。

体調が落ちているときは足さない

在職中の勉強は、余力があるときにやるものです。眠れない、休日に回復しない状態で詰め込むと、体調をさらに落とします。

やる気が出ないのは、意欲の問題ではないことがあります働きすぎのサインを、自分でどう見分けるか)。順番としては、体調が先です。

教員免許を持っている方へ

すでに持っている免許をどう扱うかは、別の記事にまとめました。免許が要る仕事は限られますが、免許より効く経験があります教員免許を活かせる仕事と、免許がなくても効く経験)。

在職中の準備全体の順番は辞める前に何をしておくかにあります。

すでに取ってしまった資格の扱い

用途を決めずに取った資格が、すでに手元にある場合もあります。無駄になったと考えなくて構いません。 使い道は後から作れます。

  • 職務経歴書に、使った場面とセットで書く:取っただけでは弱いが、業務で使った経験があれば強い
  • その分野の仕事を1つ試してみる:向いているかどうかは、使ってみないと分からない
  • 学んだ内容を、いまの業務に当てはめてみる:知識として残っているものは活かせる

逆に、使い道が見つからないものは、無理に活かそうとしないでください。 「せっかく取ったから」で進路を決めると、順番がまた逆になります。

在職中に取るなら、業務に近いものから

在職中に取るなら、いまの業務で使えるものから選ぶと無駄が出ません。

  • 業務で扱う制度に関係する資格
  • 情報・データの扱いに関わるもの
  • 会計・契約に関わるもの

理由は2つあります。1つめは、学んだことをすぐ使えるので身につくこと。 テキストの知識で終わりません。2つめは、職務経歴書に「使った経験」として書けること。 取得の事実より、使った実績のほうが評価されます。

さらに、業務に近い資格は、職場の理解も得やすい。研修として扱われたり、費用の補助が出たりする場合もあります。庁内の制度を確認してから申し込むと、負担が減ります。

学びを続けるための現実的な設計

働きながらの学習は、時間の確保がすべてです。次の3つを先に決めてください。

  1. いつやるか:曜日と時間を固定する(朝か、通勤中か、決まった曜日の夜か)
  2. どこまでやるか:合格ラインを目指す。満点は要らない
  3. やめる基準:体調が落ちたら止める。期限を過ぎたら見直す

3つめを決めておくのが、いちばん大事です。 勉強を続けること自体が目的になると、体調や家庭に無理が出ます。資格は手段なので、手段のために生活を壊さないでください。

学び直しそのものは無駄にならない

ここまで資格の使い方を厳しめに書いてきましたが、学ぶこと自体を否定しているわけではありません。

学び直しには、資格以外の効果もあります。職場の外の人と知り合う、自分が何に関心を持つかが分かる、頭の使い方が変わる。用途が決まっていなくても、学ぶ時間が支えになることはあります。

大事なのは、「資格を取れば道が開ける」という期待を持たないことです。期待が大きいほど、取ったあとに何も変わらなかったときの落ち込みも大きくなります。

まとめ

  • 資格から入るのは自然な反応。ただし順番としては逆
  • 先に「続けられる仕事の形」を決める
  • 求人3件の共通項を見てから、必要なら取る
  • 資格単体より、実務の経験との組み合わせが効く
  • 取る前に、使っている人に1人聞く
  • 費用・時間・期限の枠を先に決める

よくある質問5選

質問1何の資格を取れば転職に有利ですか。

職種によって違うため、一般化できません。応募したい求人を3件見て、共通して求められているものを取るのが確実です。

質問2資格がないと転職できませんか。

職種によります。資格が必須の職種以外では、経験の説明のほうが重く見られることが多いです。

質問3働きながら取れますか。

取れる資格は多くありますが、学習時間の確保が前提です。体調が落ちているときに詰め込むのは避けてください。

質問4業務で使う資格は、転職でも評価されますか。

業務で実際に使っていれば評価されます。資格そのものより、それを使って何をしたかが見られます。

質問5費用の目安はどれくらいですか。

資格によって幅があります。先に「いくらまで出すか」を決めておくと、講座の勧誘で判断を誤りません。

榊原立城(さかきばら もとき)元公立中学校 教員(16年)/現キャリアコーチ

コラムは主宰が内容を確認したうえで公開しています。制度や法令に触れる記述は、公開時点の条文と所属の規程を確認したうえで書いています。