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教員の経験を、外の仕事の言葉に言い換える

担任・授業設計・保護者対応は、外の職種にも同じ形で存在します。言い換えの対応表、仕事の候補の広げ方、面接での話し方、実際に活きた例までまとめました。

この記事の要点

  • 教員の経験が外で活きないのではなく、外の言葉になっていないだけのことが多い
  • 言い換えるときは、業務名ではなく「何を決めて、何を動かしたか」で書く
  • 活きる職種は教育業界だけではない。人を動かす仕事全般に地続きで届く
  • 授業以外の部分(段取り・折衝・育成)のほうが、外では評価されやすいことがある
  • 言い換えた言葉は、職務経歴書と面接でそのまま使える

「教員の経験は、外では活かせない」。辞めた人も、辞めようとしている人も、まずここでつまずきます。

コミュニティの主宰である榊原立城も、辞めた直後は同じことを思っていました。いま本人が言うのは逆です。16年の経験がこんなに活きるとは思っていなかった。 コーチングで大人に伴走していることを、「クラスの子への関わりの大人版」と表現しています(インタビュー)。

差は、経験の中身ではなく、言葉です。

言い換えの対応表

学校での経験 外での言い方
学級担任 30人規模のチーム運営。目標設定、進捗管理、個別面談
授業設計・教材研究 研修設計、コンテンツ制作、教材開発
保護者対応 利害の異なる相手との折衝、説明責任、クレーム対応
校務分掌(行事の運営) 部門横断のプロジェクト運営、当日運営
進路指導 意思決定の支援、キャリア面談
特別支援 個別の事情に応じた設計、合理的配慮の実装
成績・出欠の処理 データ管理、定期レポート
新任・教育実習生の指導 育成、オンボーディング設計
部活動の運営 少人数チームのマネジメント、年間計画の策定
学年会・職員会議の進行 会議設計、ファシリテーション

書くときのコツは、業務名ではなく「何を決めて、何を動かしたか」にすることです。「担任をしていました」ではなく「35人の学級で、年間の目標と月ごとの進め方を設計し、個別面談を月◯回行っていました」と書きます。

授業以外の部分が、外では効く

意外に思われるかもしれませんが、外で評価されやすいのは授業そのものより、その周辺です。

  • 年間の計画を立てて、毎週の進度を調整する(進行管理)
  • 意見の違う相手と合意を作る(折衝)
  • 経験の浅い人を育てる(育成)
  • 記録を残し、報告する(ドキュメント)

授業は、教える力として分かりやすいぶん、教育以外の職種では直接の評価軸になりにくい。一方で上の4つは、どの業界でも足りていないと言われる部分です。

広がる職種の方向

言い換えると、候補が見えてきます。

  1. 人を育てる:研修、人材育成、オンボーディング、教育サービス
  2. 人を支える:カスタマーサポート、カウンセリング、就労支援
  3. 段取りを組む:プロジェクト進行、イベント運営、業務改善
  4. 伝える:広報、コンテンツ制作、営業(説明が中心の商材)

教育業界に限る必要はありません。免許が要る仕事と要らない仕事の整理は教員免許を活かせる仕事と、免許がなくても効く経験にまとめました。

自分の経験が外でどう呼ばれるのかは、学校の中にいると分かりません。すでに外に出た元教員と話せる場所があります。

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面接で話すときの形

言い換えた言葉は、面接でそのまま使えます。ただし、並べるだけでは伝わりません。次の形にしてください。

中学校で◯年、担任をしていました。35人の学級で、年間の目標を立てて、月ごとに進み具合を確認していました。うまくいかない生徒には個別に面談をして、やり方を一緒に組み直していました。御社の△△の仕事は、人数は違いますが、同じ組み立てだと思っています。

最後の1文が要です。 自分の経験と、応募先の仕事を接続する。ここを相手に想像させると、通りません。

「教員だから」と言われたときの返し

面接で「学校とは違いますよ」と言われることがあります。これは意地悪ではなく、確認です。次の2つを用意しておいてください。

1|違いを認めること

「スピード感や評価のされ方は違うと理解しています」と先に言う。2つめは、それでも重なる部分を1つ挙げること。 「ただ、相手に合わせて説明の仕方を変える部分は同じだと思っています」。

認めたうえで重なりを示す。この順番だと、話が続きます。

言い換えたら、そのまま使う

出てきた言葉は、職務経歴書と面接でそのまま使えます。書き方は公務員の経験を職務経歴書の言葉に置き換えるに、未経験の職種への応募の考え方は教員から未経験の職種へにまとめました。

自分の強みが分からない段階なら、強みが見つからないときの探し方から始めてください。

経験年数が短くても言い換えられる

教員歴が3年、5年という段階でも、言い換えはできます。年数より、任された範囲と、自分で決めていたことのほうが見られるからです。

短い年数でも書けるのは、次のようなものです。

  • 学級を1年間、自分の設計で運営した(人数、行事、面談の回数)
  • 授業を年間◯時間、単元を自分で組み立てた
  • 保護者対応を、経緯の記録とともに担当した
  • 新しい教材や進め方を試して、結果を見た

「まだ何も任されていない」と感じていても、実際には毎日、判断しています。 その判断を書き出すところから始めてください。

専門教科から広げる方向

教科によって、地続きに見える職種があります。あくまで一例ですが、考える手がかりになります。

教科 地続きに見えやすい方向
国語・社会 編集、広報、コンテンツ制作、企画
数学・理科 データ分析、技術系の研修、品質管理
英語 海外業務、翻訳・通訳の周辺、外国人支援
保健体育 健康経営、スポーツ関連、福祉
技術・家庭 制作、生活支援、教材開発

ただし、教科の内容そのものより、教えるために整理した経験のほうが効く場面が多い。教科はきっかけとして使い、中身は授業設計や進行の経験で語ってください。

学校の外に出た人の共通点

外に出て落ち着いた人の話を聞くと、共通しているのは自分の経験を説明できる状態にしてから動いたことです。

榊原立城も、16年の経験を「一人ひとりの目標づくりに伴走する仕事」と言い直したことが、いまの仕事につながっています(インタビュー)。

言い換えは、辞めるためだけの作業ではありません。 続ける場合も、自分がやってきたことを言葉にしておくと、仕事の見え方が変わります。

言い換えたあとに、試してみる

言い換えができたら、実際に外の人に説明してみてください。伝わるかどうかは、言ってみないと分かりません。

説明して「それは具体的にどういうことですか」と聞かれた部分が、まだ言い換えきれていない箇所です。そこを直すと、職務経歴書も面接も通りやすくなります。

聞く相手は、教育関係者以外がいい。中の人には伝わる言葉が、外では通じないことがあるからです。

まとめ

  • 教員の経験が活きないのではなく、外の言葉になっていないだけ
  • 業務名ではなく「何を決めて、何を動かしたか」で書く
  • 授業以外(進行管理・折衝・育成・記録)のほうが外では効く
  • 候補は教育業界に限らない。人と段取りが関わる職種全般
  • 面接では、自分の経験と応募先の仕事を接続する1文を用意する

よくある質問5選

質問1教員の経験は、教育業界でしか活きませんか。

そんなことはありません。研修・人材育成、サポート、企画、進行管理など、人と段取りが関わる職種に広く届きます。

質問2担任の経験は、どう書けばいいですか。

「担任」ではなく、30人規模のチームの目標設定・進捗管理・個別面談として書くと伝わります。

質問3部活動の経験は書いてもいいですか。

書けます。人数、期間、何を任され、どう改善したかを添えると、単なる活動報告になりません。

質問4専門教科は関係ありますか。

職種によります。理数系なら分析・技術系、国語・社会なら編集・企画、英語なら国際業務など、地続きに見える職種はあります。

質問5経験年数が短くても言い換えられますか。

できます。年数より、任された範囲と、自分で決めていたことのほうが見られます。

榊原立城(さかきばら もとき)元公立中学校 教員(16年)/現キャリアコーチ

コラムは主宰が内容を確認したうえで公開しています。制度や法令に触れる記述は、公開時点の条文と所属の規程を確認したうえで書いています。