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親に反対されて辞められないとき、伝える順番を変える

説得しきってから辞める、という前提を外すと動けることがあります。反対の中身の分け方、伝える時期の前倒し、配偶者への説明、話すときの文例までまとめました。

この記事の要点

  • 説得しきってから辞める、という前提を置くと動けなくなることがある
  • 反対の中身は分かれる。生活の心配、世間体、本人の将来への不安、価値観
  • 直前に伝えるほど反対は強くなる。時期を前倒しして、前提を共有する
  • 生活をともにする家族には、決める前に数字を見せて共有する
  • 意見を聞くことと、決めてもらうことは違う

「親が反対するから辞められない」。この状態が何年も続くことがあります。

コミュニティの主宰である榊原立城も、教員1年目に辞めたいと親に伝え、「せっかく公務員になったのに」と言われて思いとどまっています。そこから実際に辞めるまで、長い時間がかかりました(インタビュー)。

この記事では、伝える順番と、反対の中身の分け方を書きます。

説得しきってから、という前提を外す

榊原が最終的にとった形は、説得ではありませんでした。辞める5〜6年前に「いつか辞める」と伝え、辞めるときには「決めたから」と伝えたという順番です。

この順番の良いところは2つあります。

  • 相手に考える時間が渡る。突然の話ではなくなる
  • 本人も、反対されたまま黙っている期間を作らずに済む

直前に伝えるほど反対は強くなります。理由は内容ではなく、急だからです。 人は、決定そのものより、決定を知らされ方に反応します。

反対の中身を分ける

「反対」とひとことで言っても、中身は違います。

反対の中身 効く伝え方
生活できるのか(お金) 数字を見せる。生活費の残り月数、次の見通し
世間体・周囲への説明 何と説明すればよいかを一緒に決める
本人の将来が心配 次に何をするかを具体的に話す
自分の価値観(公務員は辞めるものではない) 変わらないこともある。ここは時間に任せる

上の3つは材料で動きます。いちばん下だけは、説明では動かないことがあります。動かないものを動かそうとして止まっているなら、そこは分けて考えてください。

見分け方は簡単です。数字を見せたあとにも同じ反対が続くなら、それは価値観の話です。

話すときの型

伝え方で迷う人が多いので、型を書いておきます。

心配をかけてしまうと思うけれど、伝えておきたいことがあります。いますぐではないけれど、◯年以内に働き方を変えようと思っています。辞めたあとの生活費は◯か月分あって、次にやりたいのは△△です。反対する気持ちは分かるので、決める前に一度きちんと話したい。

ポイントは3つです。時期を示すこと(急ではないと伝わる)、数字を出すこと(心配の中心はお金であることが多い)、相手の気持ちを否定しないこと

「もう決めた」から入ると、相手は反応する場所がなくなり、感情で返してきます。決めていても、聞く姿勢だけは残すと話が続きます。

家族に話す前に、一度だけ利害のない相手に話してみると、言葉が整理されます。同じ立場の公務員・教員が集まっている場所があります。

公務員コミュニティに参加する

配偶者・子どもがいる場合は別

親への説明と、生活をともにしている家族への説明は分けて考えます。後者は、決める前の共有が必要です。

一緒に見るのは次の4つです。

  1. 世帯の手取りと固定費
  2. 下げられる固定費と、下げられないもの
  3. 辞めたあとの「決めなくてよい月数」
  4. いつまでに何を確かめるか(期限を決める)

数字を出すと、話が「賛成か反対か」から「どうすれば成り立つか」に移ります。 やり方は辞める前に何をしておくか辞めたあとのお金を、退職手当から先に計算するにまとめました。

毎日言われる状態をやめる

同居していると、顔を合わせるたびにその話になることがあります。これは双方にとって消耗します。

  • 話す日と時間を決める(週に一度、など)
  • それ以外の場面では、話題にしない約束をする
  • 進捗を短く共有する(「今月は◯◯を確かめた」)

報告の形にすると、相手の不安が減ります。 何も知らされない状態がいちばん心配を大きくします。

意見を聞くことと、決めてもらうことは違う

家族の意見は聞いていい。ただ、決めるのは自分に残しておいたほうがいい。人に決めてもらった選択は、つまずいたときに戻る場所がなくなります(公務員から転職して後悔する人としない人の違い)。

反対されたまま辞めることになる場合もあります。そのときも、伝えていたかどうかで、あとの関係が変わります。黙って辞めるのと、反対されながらも伝え続けたのとでは、数年後の受け止め方が違ってきます。

反対されたまま進める場合

話しても反対が変わらないことはあります。そのときに、進めるか止めるかは自分で決めるしかありません。判断の材料として、次の2つを分けてください。

1|生活への影響があるかどうか

同居していて家計が一緒なら、合意なしに進めるのは現実的ではありません。別世帯で、生活が独立しているなら、最終的には本人の判断です。

2|関係を壊さずに進められるか

黙って進めると、あとで分かったときの反発が大きくなります。反対されていても、伝え続けるほうが関係は保ちやすい。

伝え方としては、報告の形が負担が少ないようです。「決めたことだけ、事実として伝える。意見は求めない」。説得しようとすると議論になりますが、報告なら終わります。

時間が解決する部分もある

親世代の反対は、価値観に根ざしていることがあります。公務員は安定した立派な職業だ、という前提が強い世代です。

この前提は、話し合いでは変わりません。ただ、時間と実績で変わることはあります。 辞めたあと、生活が成り立っている様子を見て、少しずつ受け止め方が変わる。

榊原立城も、教員1年目に辞めたいと伝えたときは反対されました。実際に辞めたのは、そこから長い時間が経ってからです(インタビュー)。

いま反対されていることが、永久に変わらないとは限りません。 だからこそ、関係を切らずに伝え続ける形が現実的です。

自分が揺れているとき

家族の反対で止まっている、と思っていても、実際には自分が決めきれていない場合があります。見分け方は簡単です。

家族が賛成したら、すぐに動けるか。

動けるなら、問題は家族です。動けないなら、足りないのは材料です(辞める勇気が出ないとき、足りないのは勇気ではない)。

材料が足りない状態で家族に相談すると、答えられない質問が続いて、余計に反対されます。順番としては、材料を先にそろえるほうが通りやすい。

まとめ

  • 説得しきってから辞める、という前提を外す
  • 反対の中身を分ける。お金・世間体・将来・価値観
  • 伝える時期を前倒しする。急だから反対は強くなる
  • 生活をともにする家族には、決める前に数字を見せる
  • 毎日その話になる状態をやめる。日と時間を決める

職場への伝え方は退職を伝えたときの引き止めに、どう応えるかに、判断の順番は公務員を辞めたいと思ったら、決める前に確かめる3つのことにまとめています。

よくある質問5選

質問1親を説得できないまま辞めてもいいのでしょうか。

最終的に決めるのは本人です。ただし生活に影響が出る相手(配偶者など)には、決める前の共有をおすすめします。

質問2何と言えば分かってもらえますか。

気持ちより数字のほうが伝わることがあります。辞めたあとの生活費の見通しを示すと、心配の中身が変わります。

質問3反対されると気持ちが揺れます。

家族の反対は、こちらの決意より相手の心配から来ています。心配の中身(お金か、世間体か、将来か)を聞き分けると、揺れの正体も見えてきます。

質問4親と同居していて、毎日言われます。

話す場と回数を決めてください。毎日その話になる状態は、双方にとって消耗します。週に一度、時間を決めて話す形にすると落ち着きます。

質問5配偶者が反対しています。

生活に直結するので、親とは別に扱ってください。世帯の収支と、下げられる固定費、いつまでに何を確かめるかを一緒に見るところから始めます。

榊原立城(さかきばら もとき)元公立中学校 教員(16年)/現キャリアコーチ

コラムは主宰が内容を確認したうえで公開しています。制度や法令に触れる記述は、公開時点の条文と所属の規程を確認したうえで書いています。