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教員を辞めたくなったとき、最初にやることの順番

限界が近いときは、退職より先にやることがあります。休む・減らす・離れるの3つの手、休職と退職の違い、管理職への伝え方の文例、年度との付き合い方までまとめました。

この記事の要点

  • 限界が近いときの順番は「体を守る → 選択肢を増やす → 決める」。決めるのは最後でいい
  • 退職の前に、休む・減らす・離れるの3つの手がある。どれも辞めることの前段階ではない
  • 休職と退職は、戻れるかどうかが決定的に違う。順番を逆にすると戻る道が消える
  • 管理職に伝えるときは、要望ではなく状態を具体的に伝えるほうが通りやすい
  • 不調のサインが出ているときにキャリアの判断をしない。回復してから見ると結論が変わることが多い

制度の名称や取り扱いは、所属する教育委員会・自治体の条例や規程で異なります。この記事は2026年9月時点の一般的な整理です。適用の可否は必ず所属の規程と人事担当でご確認ください。体調の判断は医療機関にご相談ください。

朝、出勤の準備をしている途中で動けなくなる。日曜の夕方から動悸がする。生徒や同僚には普通に接していて、家に帰ると何もできない。こういう状態のときに、まず検索するのは「辞め方」です。

けれど、限界が近いときにいちばんやってはいけないのが、その状態のままキャリアを決めることです。判断力は体調と一緒に落ちます。回復してから同じ問いを見ると、別の答えになることが少なくありません。

順番があります。体を守る、選択肢を増やす、決める。この順です。

まず、体を守る

眠れない、食べられない、休日に回復しない、涙が出る、朝に動けない。ひとつでも当てはまるなら、キャリアの話は後回しにして、医療機関にかかってください。学校を辞めるかどうかは、そのあとでいくらでも考えられます。

産業医の面談や、自治体の相談窓口を使える場合もあります。ここで大事なのは、自分の状態を自分だけで判定しないことです。教員の仕事は、少し無理が効いてしまうぶん、限界が来ていることに気づくのが遅れます。授業は成立しているから大丈夫、と考えているうちに、朝が来なくなる。

サインの見分け方は働きすぎのサインを、自分でどう見分けるかにまとめました。

退職の前にある、3つの手

辞めるかどうかの前に、取れる手があります。この3つを試さないまま辞めると、「あれはやっておけばよかった」が残ります。

① 休む

病気休暇・病気休職は、辞めるための前段階ではありません。判断できる状態に戻すための時間です。期間や給与の扱いは所属の条例・規程で決まっているので、人事担当に確認してください。戻れる状態を残したまま離れられるのが、退職との決定的な違いです。

お金の心配で受診をためらう人が多いのですが、順番が逆です。まず体、次に数字。制度と金額の確認は休職中のお金はどうなるかにまとめました。

② 減らす

担任・校務分掌・部活動の担当は、年度の途中でも動かせることがあります。「言っても無駄だ」と思って言っていないだけ、という場合もあります。

管理職に伝えるときは、要望ではなく状態を伝えるほうが通りやすい。たとえばこうです。

最近、夜に眠れない日が続いていて、朝に体が動かないことがあります。いまの担当のうち、◯◯と△△は今の状態だと期限までに終えられません。どれを残してどれを外すか、相談させてください。

「つらいので減らしてください」ではなく、何がどれだけできない状態なのかを具体的に言葉にします。1週間の記録(何にどれだけ時間がかかったか、突発が何件あったか)を添えると、話が早くなります。

保護者対応の負担が中心なら、保護者対応の負担を、個人の問題にしないためにも読んでください。

③ 離れる

異動の希望、他校種・他職種への移動、教育委員会事務局への異動。組織の中で環境を変える手です。効く人と効かない人がいます。仕事の内容ではなく、決められる範囲の狭さが苦しさの原因になっている場合は、異動しても同じことが起きます。

3つのうちどれを選ぶかは、状態と職場によって変わります。同じ立場で先に動いた教員・公務員が、どの順番で何をしたかを話している場所があります。

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休職と退職は、戻れるかどうかが違う

休む(病気休暇・休職) 辞める(退職)
身分 残る なくなる
収入 規程に応じて一定期間支給されることがある 途切れる(退職手当は別)
戻る道 復職できる 採用試験の再受験のほか、講師登録や経験者採用など、自治体ごとに複数の道がある
決める時期 回復してから決められる その時点で決める
次の職場への説明 休職の理由と回復を説明する 退職の理由を説明する

順番を逆にすると、戻る道が細くなります。回復してから決めても遅くない、というのはこの表の話です。

休職に入った後の進み方は休職したあと、復職と退職をどう考えるかにまとめました。

年度との付き合い方

教員の仕事は年度で回るので、辞める時期も年度末が基本になります。ただ、これは決まりではなく、影響を小さくするための慣行です。

  • 年度末で辞める場合:前年の秋から冬に相談が始まるのが一般的
  • 年度の途中で離れる場合:まず休むことを検討する。退職とは分けて考える

体調が限界のときに「年度末まで」と決めてしまうと、そこまで持たないことがあります。年度を待つかどうかも、医療の判断を踏まえて決めてください。 時期の考え方は教員が辞めるタイミングを、年度で考えるに書きました。

回復してきたら、選択肢を増やす段階へ

体調が戻ってきたら、次は選択肢です。ここで初めて、辞めるかどうかを考える材料がそろい始めます。

やることは3つ。

  1. 経験を外の言葉に置き換える:担任は「30人規模のチーム運営」、授業設計は「研修設計」。言い換えると、応募できる職種が見えます
  2. 家計を数字にする:手取り、固定費、退職手当の見込み、生活できる月数
  3. 外の人に話を聞く:学校の外にいる元教員から、実際の順番を聞く

コミュニティの主宰である榊原立城は、中学校の教員を16年勤めて退職しました。辞めたいと最初に思ったのは1年目です。そこから実際に辞めるまでに、長い時間がかかっています。体調を崩した時期もありました。

本人が振り返って言うのは、辞めることそのものより、辞めたあとに何をするかが見えていなかったことのほうがきつかったということです。退職後の1年を「キャリア迷子」と呼んでいます(インタビュー)。

生徒と同僚への影響を、どう考えるか

辞めることを考えるときに、いちばん重くなるのがここです。年度の途中で抜けたら生徒に迷惑がかかる、同僚の負担が増える。その気持ちは、教員の方にほぼ共通しています。

ただ、考える順番としては後です。倒れてから離れる場合の影響のほうが、準備して離れる場合より大きくなります。 急な欠員は代替の手配ができず、引き継ぎの資料も残りません。

できることは3つあります。

  1. 早めに状態を伝える:管理職が動ける時間を作る。これがいちばん影響を小さくします
  2. 引き継ぎの材料を残す:担当業務、進行中の案件、関係先。休む前に書ける範囲で
  3. 自分が抜けた前提で回る形を、いまのうちに1つ作る:属人化しているものを共有する

責任感がある人ほど、限界まで言わずに抱えます。 抱えた結果として突然離れることになるほうが、周囲にとっても大変になる、という順番で考えてください。

いま、この週にやること

  1. 体調のサインを確認する。当てはまるものがあれば受診の予約を取る
  2. 1週間、何にどれだけ時間がかかったかを記録する
  3. 管理職に伝える文面を、上の例を参考に下書きする
  4. 病気休暇・病気休職の規程を、庁内ポータルか人事担当で確認する

辞めるかどうかは、そのあとです。判断の順番は公務員を辞めたいと思ったら、決める前に確かめる3つのことに、在職のままできる準備は辞める前に何をしておくかにまとめています。

よくある質問5選

質問1休職すると、経歴に傷がつきますか。

民間への転職で休職歴が直接の不採用理由になることは、一般的ではありません。むしろ、回復しないまま働き続けて短期離職を繰り返すほうが、あとの説明が難しくなります。

質問2年度の途中で辞めるのは無責任でしょうか。

年度末での退職が一般的なのは事実ですが、心身の状態が限界のときに我慢して続けることが、結果として周囲への影響を大きくすることもあります。まず医療機関にかかり、産業医や管理職とも相談したうえで判断してください。

質問3誰に相談すればいいか分かりません。

職場の同僚と家族は、どちらも利害が絡みます。まず医療機関、次に利害のない第三者(同じ立場で先に動いた人など)という順番をおすすめします。

質問4担任を外してほしいと言ったら、評価に響きませんか。

状態を具体的に伝えることは、職務上必要な報告でもあります。伝えないまま倒れる場合の影響のほうが大きい、という前提で考えてください。

質問5休んだあと、同じ学校に戻るのが不安です。

復職前の面談で、担当や配置について相談できる場合があります。主治医と産業医の意見を踏まえて、人事担当と話してください。

榊原立城(さかきばら もとき)元公立中学校 教員(16年)/現キャリアコーチ

コラムは主宰が内容を確認したうえで公開しています。制度や法令に触れる記述は、公開時点の条文と所属の規程を確認したうえで書いています。